宇宙の中性水素ガスは従来の2倍  –Planck衛星を用いた新解析法によって精密測定を達成–

【発表日】2013/09/09 
【掲載メディア】 中日新聞、読売新聞、毎日新聞(夕刊)

名古屋大学大学院理学研究科附属南半球宇宙観測研究センター 
【会見者】 教授 福井康雄

宇宙の基本的な構成要素は水素原子Hであり、宇宙で観測される物質の9割を占める。残りは、ヘリウムHe、炭素C他のより重い原子である。

水素は星を形成するもとであり、宇宙の進化を司る基本物質である。従来の水素原子の測定法は、水素の放つ波長21センチメートルの電波を電波望遠鏡で受信し、その電波強度が水素原子の総量に比例すると仮定する方法が一般的であった。名古屋大学の研究チームは、南米チリに設置した電波望遠鏡NANTEN2’によって,太陽系近傍500光年にある分子雲(ペガサス座)を観測した。この結果を最新の観測衛星Planckの観測結果、および、中性水素の観測結果と比較し、従来の測定法に欠陥があり、水素原子の総量が少なくとも2倍以上(従来値と比べて)存在することを見いだした。この結果は、星間物質の性質はもとより、分子雲における星形成、銀河宇宙線量、昼間ダストの性質等の幅広い課題に大きな波及効果をもたらすものと予想される。本件は、9月10日より東北大学で開かれる日本天文学会において発表される。

【PDFファイル】プレスリリース

掲載情報の抜粋

9月10日 中日新聞 「宇宙の水素密度は2倍 定説覆す 星の形成研究に影響」
9月10日 読売新聞 「宇宙の水素原子量 定説の2倍」
9月10日 毎日新聞(夕刊) 「宇宙の水素密度 定説の2倍 研究の前提変わる」