チリ大地震からの復興を願って(2010年4月)
2010年月度のビデオメッセージ
今月のメッセージをお伝えしたいと思います。
先月、南米のチリで非常に大きな地震がありました。首都のサンティアゴから約300km南にある場所が震源地でした。マグニチュード9に近い実に巨大な地震でした。私どもの望遠鏡「なんてん」は、サンティアゴから逆方向、北に約1000kmの位置にあります。ですから、ゆうに千数百kmの距離は離れていますので、幸いなことにこの大地震の影響はほとんどなかったといっていいと思います。本当にたくさんの方々にご心配をいただき、お問い合わせもいただいて、大変感謝いたしております。望遠鏡はこの大地震に関しては無事でした。
ただし、その後、数日をおきまして望遠鏡のすぐ近く、だいたい100kmあまりの場所でマグニチュード6強の地震がありました。これは望遠鏡の場所もかなり揺れました。規模は小さいのですが、距離が近いこちらの地震のほうが実は大変心配でして、早速、現地に問い合わせたりして望遠鏡の無事を確かめたというのが、ここ2、3週間の出来事でございました。
いずれにしても望遠鏡は大変精密な装置で、波長数百ミクロンの電磁波を受けますので、数ミクロンの精度で鏡面、反射面が調整されており、非常に大きな重力加速度がかかってしまうと、損傷を受ける危険性が十分にあります。今後、似たような大きな地震が望遠鏡に悪い影響を及ぼさないことを切に願いたいと思います。
ただし、チリの一般の方々、特にコンセプシオンという町が大きな被害を受けました。コンセプシオンにも天文学をやっている大学があり、コンセプシオン大学の工学部、エンジニアリングを中心にやっている人達は、チリのアタカマのいろいろな望遠鏡の、特にハードウェアの面から開発に参加して貢献されています。このコンセプシオンの人達がどのような被害を受けたのか、実は大変心配しております。
天文学者は世界的にネットワークをかなり張り巡らせておりまして、地震の直後は電子メールが不通で読めず、また停電でチリのかなり広い部分が音信不通になってしまうということもありましたが、いまのところ天文学者の仲間達も含めて、かなり無事は確認できています。ただし、特に南の震源地を中心にした地震そのものの被害、それからその直後の津波による被害、これによる人々の被災状況には大変痛ましいものがあると聞いております。一日も早いチリの地震からの復興を願っている次第です。
今月のメッセージとさせていただきます。どうもありがとうございました。