名大サロン100回目を迎えて(2010年12月)
2010年12月度のビデオメッセージ
皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。
8年あまり前から名古屋大学で「名大サロン」という催しを行ってきました。月1回、夕方に学内のレストランに皆さんに集まっていただき、ワインを傾けながら、スピーカーの約1時間の講演を聴いた後、いろいろと質問をしたり、また食事を楽しみながら、さらにいろいろな議論を数十名の方々と楽しむという催しです。「名古屋大学のサロン」という意味で「名大サロン」という名前を付けて、10人近い仲間と一緒に運営委員会を作り、行ってまいりました。
そして、実は今月12月が名大サロンの100回目なのです。毎月毎月、行ってきまして、100回を数えましたが、「とりあえず100回で中断しよう。休止しよう」という結論に至りました。サロンの休止を惜しむ声も聞こえてくるのですが、実は私の研究室がいろいろなアナウンスやサロンの受け付け、あるいは会費の徴収等、縁の下の力持ちという形でお手伝いをしてきまして、100回行ったのですが、特に外からの援助もありませんので、流石に私達も疲れました。また、運営委員会のメンバーに新しいメンバーが入ってきていないという問題もあります。
そもそもこのサロンを始めるときにどのようなことがあったのかといいますと、当時、名古屋大学の総長の松尾先生が、若手の教員を集めて名古屋大学の将来を語ろうということで、「名古屋大学の将来を語る会」を組織されました。そのなかで、名古屋大学が学問の府としての香りをさらに高めるために、どのような催し、あるいは努力があり得るかということをいろいろ議論いたしまして、その一つのアイデアが名大サロンでした。
約1年間、関係者でいわば予行演習を行い、月1回、研究者、名古屋大学の教員の誰かに話題を提供してもらって、その話をタネに、みんなでいろいろな意見交換、交流をして、また大学でほかの教員、研究者はいったいどのような研究をしているのか、それをよく知ろうではないかということを目標にしました。
最初は、その延長線でしたので、サロンは学内の人間だけで行っていたのですが、毎回、中日新聞が記事に取り上げてくれたということもあって、一般市民の方から「参加したい」というご要望があり、オープンにしました。ですから、ここ数年は学内、学外を問わず、集まった30~40名程度の方々がサロンを楽しんできました。
ただ、やはりいろいろなものにマンネリズムというものはあります。名古屋大学でこのような交流をすることの意義は何なのか、一人一人にとって名古屋大学における学問研究は何を目指すものなのか、また分野を越えた交流は何のために必要なのか、そういった問題をもう一度、原点に、出発点に戻って考え直し、議論し直し、そしてもし本当に必要なものであれば、数カ月の休止を経てサロンを復活させることもあり得るのかなと考えています。
今回の12月の名大サロンは特に講師を設けておりません。みんなでサロンのこれまで、そして今後のあるべき形について、自由に忌憚のない意見交換ができればいいのではないかと考えています。
法人化以降、大学は学問の府としての香りを失いつつあるという危機感が、私には強くあります。そのことを直視しながら、大学の将来、そしてまた学問を取り巻く社会の将来を考えていく機会にできればと考えております。
ありがとうございました。