社会を支える寄付金(2008年3月)

2008年3月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

今月は寄付金についてお話ししたいと思います。

寄付金というと、少し迷惑なもの、街中を歩いていれば「できれば避けて通りたい」という気分がいたします。しかし、寄付金は、ある意味で社会の問題意識や関心を瑞々しく映す、とても優れた鏡でもあるのです。

大学の場合でいいますと、大学もいろいろな寄付のお願いをいたします。大変悪い典型は、例えば皆さんから、あるいは同窓生から寄付を募って何とか会館を作る場合、作るまでは、あるいはお金が集まるまでは何だかんだといってくるのですが、いったんお金が集まって会館が建ってしまえば、もう梨のつぶて、何もいってきません。これではいけません。やはりお金の受け渡しという意味で、寄付は大学と社会をつなぐ、とても大事な絆なのです。その絆を通して大学人、あるいは研究者は社会との結びつきを深く感じ、さらに広く、しかも中身のある研究情報、研究成果を発信していく、そのようなことにつながっていくべきだと私は考えています。

そういう意味で、「なんてん」望遠鏡の研究成果も、折に触れて公開講演会等を行いながら皆さんにお伝えし、また数百円、数千円から、場合によっては数百万円に至る個人の方々のご寄付をいただいています。そして、その意味を学生諸君にもしっかりと伝えながら研究を進めていくということを心がけております。

歴史を振り返りますと、例えばいまは当たり前のようにみえる奨学金制度も、明治時代に心ある人達の「苦しい学生達を皆で応援しようじゃないか」という気持ちで始まった寄付金が出発点なのですね。それを政府が受けて、きちんとした制度としてしっかりと確立していったものが、いまの日本の奨学金制度であると聞いております。

寄付金は決して軽視してはいけません。社会を支える、そして次の社会をひらいていく、とても大事な仕組みではないかと考えております。

どうも皆さん、ありがとうございました。

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