古典、古文、漢文の教育を(2008年4月)

2008年4月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

今月は言葉について、日本語について少し意見を申し上げたいと思います。

我々は日本語を母国語としていますけれども、結局、我々がいろいろなことを考えて頭の中でロジックを組み立てていくときには日本語を使っています。いくら後から英語やフランス語を学んでも、10歳以下で身につけた日本語が、日本人が思考し、論理を組み立てていくときの基本になります。ですから、我々にとって日本語はとても大事な言語なのです。

日本語がどのようにして成立してきたかということを考えてみますと、いくつかのファクターがありますが、一つは中国から入ってきた漢文の文化があります。これが日本の文化と仮名まじり文という形で融合し、それがどんどん洗練されて現代日本語はでき上がってきました。ですから、日本語を美しく、しかも効果的に使いこなすためには古典、特に漢文、古文をしっかりと勉強することが基本となります。その基本なくして日本人が素晴らしい論理を構成することはあり得ないと私には思われます。

私も中学、あるいは高校時代、古い文章をずいぶん読みました。高校時代は古典が大好きでした。漢文のきりっとした素晴らしい簡潔な表現、また一方で源氏物語に象徴される古文の大変しめやかな日本的な伝統、そういうものに深く接しながら私も日本語を使ってきたのではないかと振り返ることができます。

ところが、最近、ある方とお話ししておりまして、非常に驚きました。いま、ほとんどの高校で漢文を教えていないというのですね。これは恐ろしい、驚愕すべきことです。このままいくと日本という国の言語に軸を置く文化が本当に崩壊していくのではないかという危機感すら抱いてしまいます。ぜひもう一度、古典、古文、漢文を学校教育の場でしっかりと教え、日本語を通して日本の伝統文化についてもう一度深く考えるということを、全世代の課題として取り組んでいくべきではないかと思っております。

皆さん、どうもご清聴ありがとうございました。

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