学問の歴史(2007年7月)
2007年7月度のビデオメッセージ
皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。
学問の世界は大変奥が深いのですけれども、一つ大きな誤解が皆さんの間にあるような気がします。例えば、いまの学校では数学や化学、あるいは物理学や生物学など、いろいろな学問にそれぞれのラベルを貼って、とてもくっきり分かれたものだと思って、教えています。
ところが、歴史を遡ってみると、実は決してそうではないのです。例えば数学もそうですが、生物の研究あるいは化学の研究、いろいろな研究は、それぞれが地下茎でつながっているのです。このことは、学問が歴史的にどう発展してきたかということを数百年のオーダーで考えてみるとよくみえてきますし、面白いと思います。基礎的な科学の発展は大変深いレベルでつながりを持っています。
我々が普段の日常でみているのは、氷山の一角といいますが、まさに本当に氷山の海面上の部分だけなのです。ですから、ある発見があったり、あるとても著しい知識があるとすると、その背後あるいはその水面下に、実はどのような巨大なものがぶら下がっているのか、そしてそれはほかの大きな発見とどのような関係を持っているのかということを常に考えたいと思っています。
例えば、数学は非常に普遍性の高い、一般性の高い、非常に強力な、我々の宇宙に対する理解のあり方の一つです。数学はとても深いものを持っています。いまの人類が数学をどこまで理解したかというと、本当にごく一部です。歴史的な経過をみますと、例えば物理学がいろいろな新しい実験結果を出し、それをどのように説明しようかという……(録音終了)