「小惑星を全部くっつけて地球を作ることはできますか?」〜『ここまでわかった 宇宙100の謎』より〜(2016年4月)

2016年4月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

先月、3月の末に新しい本が出ました。『ここまでわかった 宇宙100の謎』という本です。角川文庫から発売されました。これは、以前、3、4年前ですけれども、東京新聞社から出した『宇宙100の謎 2』という本をさらに改訂、修正し、文庫版として出版した本です。いままでこのシリーズの本はブルーのカバーでしたけれども、今回は少し雰囲気を変えて白いカバーになっております。機会がありましたら、ぜひ書店等でみていただけるといいと思います。

このなかから一つ、「謎30」をご紹介しようと思います。「謎30」は、一般の方から寄せられた宇宙に対する質問の一つで、「小惑星を全部くっつけて地球を作ることはできますか? その大きさはどれぐらいになりますか?」というご質問です。確かに太陽系のなかでは、いま太陽の周りを小惑星がたくさんぐるぐる回っています。そのような小惑星を全部足し上げてくると地球ができるのかという、なかなか面白い質問です。

この小惑星については、結構、調べられておりまして、例えば100~1000kmの大きいものは200個ぐらいあります。それより小さいものは、だんだん数が増えていきまして、どこまで数えるかという問題になりますけれども、非常に小さいものはたくさんあるわけです。ただ、それを全部寄せ集めてきても、実は地球にはとても届きません。

この小惑星は、可能性としては2つあります。まず、46億年前に地球のような星が太陽系のなかで形成されたなかで、惑星になり損なった固体の塊という可能性が1つです。それから、小惑星は小惑星同士が結構衝突しますが、衝突によって小さな破片に砕け、それがまた合体して、より大きな惑星になります。そのように衝突して、小さな破片に分かれたり、くっついたりということを、何回も何回も限りなくくり返して、現在の小惑星になった可能性を考えていいと思います。

例えば木星は、太陽系のなかで非常に重たい天体ですので、近くの小惑星は引き付けられて、ずいぶん木星に取り込まれていると想像されます。重さとしては木星、土星が、太陽系の成長を、あるいは形を大きく決めている天体です。

いま「はやぶさ2」という形で、小惑星に対する探査計画が進んでいます。1つ、2つの小惑星を調べて太陽系の謎が全てわかるかというと、そんなに太陽系の起源は甘くはないわけですが、小惑星を構成している物質を我々が直接キャッチして、それを分析することは、大変貴重な自然科学の課題です。おそらく、さらにさらに大変長い期間を経て、太陽系の起源の謎も一歩一歩わかってくるのではないかと期待しています。

今月のメッセージをお伝えいたしました。

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