相次ぐテロ事件の影響(2015年12月)
2015年12月度のビデオメッセージ
皆さん、こんにちは。今月のメッセージ、ことし最後のメッセージをお伝えしたいと思います。
大変な事件が起こってしまいました。現在、ヨーロッパは本当に大変な状況にあるのではないかと思います。おそらく関係している軍事筋の方々は、ある程度、事前に情報を持っていたのだと思いますが、多くの日本国民にとっては大変ショッキングな出来事だったと思います。
先週、私はヨーロッパに行っていましたが、テレビ等をみていますと、全然、雰囲気が違います。日本でいろいろ報道を聞いていますと、やはりヨーロッパですから、どうしてもはるか彼方の出来事であるという感覚がしてしまいますが、ヨーロッパのテレビ報道等をみておりますと、本当に切れ目なくテロに関係するニュースが、あるいは新しい情報が流れております。
なぜこのような事態に至ったのかという背景として、この間の非常に長い歴史があることは明らかでありますが、一つ、私にとっても大変気がかりなことがあります。ある情報によると、ヨーロッパはシリアからの難民の問題で、いろいろな影響がドイツを中心に広がっています。このことに関する予算上の圧迫が、おそらく時間の問題で発生してくるのではないかという懸念が一つあります。
現在、ヨーロッパがかなり重要な役割を果たしている、例えばガンマ線望遠鏡、CTA(Cherenkov Telescope Array)がありますけれども、そういったものに対して、予算上の、あるいは経費上の新たな制約が発生するのではないかという懸念を、関係者は持ち始めています。
それから、一年間を通して、フランスも含めたヨーロッパ各国で、たくさんの学術的な国際会議が行われています。特にフランスは、例えばパリでもミーティングが非常に多いのです。このようなミーティングに当面は出席を控えようかという空気が、どうしても出てきています。これはやむを得ないことだと思います。そのような諸々のテロの影響が、学術、学問研究にも確実に非常に大きな影響を与えつつあるということです。
このように大変大きな懸念を持ちながら、ことしを締めくくらざるを得ない、大変心の痛む、残念な時代であるという気がいたします。
どうもありがとうございました。