『坊ちゃん』に思いを馳せる(2014年10月)
2014年10月度のビデオメッセージ
皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。
先月、9月は国内旅行を何回かいたしました。一つは日本天文学会の関係で山形に行き、その後、愛媛大学の友人を訪ねて松山に数日、旅行してまいりました。国内の旅行もとても楽しい思い出がたくさんあり、また学ぶこともたくさんあります。
松山には私もいままで何回か行っているのですが、何といっても松山で思い出すのは、夏目漱石の『坊っちゃん』という小説です。やはり夏目漱石のなかでは一番読みやすい本の一つですので、10歳ぐらいのときによく読みました。
『坊っちゃん』を読んでみると、主人公が大変痛快で、とても気持ちの良いお話です。江戸から来て松山に赴任した新任の先生と、中学生、あるいは高校生の悪い子供達とのやり取りが大変ユーモラスで、何回読んでも楽しい小説です。松山に行きますと、必ず『坊っちゃん』を思い出します。
それがきっかけとなりまして、中学1年生の頃に、夏目漱石は大変面白いので彼の主な作品を全部読みたいと思いまして、中学1年生から2年生にかけて、『こころ』を初めとした主な夏目漱石の小説を全部読みました。本を読むことによって、夏目漱石の教養、あるいはその当時の文化、さらに彼の留学先であるヨーロッパの文化、そのようなものを大変楽しく体験し、新しい世界に誘われたという思いが大変強くあります。
最近の学生諸君をみていますと、読書に時間を使う方はそれほど多くはないようです。どれぐらいの人達が夏目漱石、あるいは森鴎外など、日本の良い文学に触れているのか多少心配にもなりますが、ぜひいろいろな年代になっても本を読む楽しみを持ち続け、日本の文化、また西洋の、海外の文化を自分のものとして、古の人達との会話、対話を楽しんでいきたいと思います。
今月のメッセージとさせていただきます。ありがとうございました。